マツダの新世代ラージ商品群の先陣を切って登場したCX-60。
縦置きの直列6気筒エンジンとFR(後輪駆動)レイアウトという、車好きの心をくすぐる本格的な設計を採用し、プレミアムSUV市場の新たな基準として大きな注目を集めました。
トヨタやホンダ、スバルなど魅力的なモデルがひしめく激戦のSUV市場においても、CX-60の持つ圧倒的な存在感と洗練されたデザインは特別です。
「いつかはこんな車で走りたい」と憧れ、ついに手に入れたという方も多いのではないでしょうか。
しかし、いざ納車されて期待に胸を膨らませて走り出してみると、「なんだか路面の凹凸を拾ってゴツゴツする」「後席に乗せた家族から不評だった」と戸惑う声が少なくなかったのも事実です。
素晴らしいポテンシャルを秘めた美しい車であるからこそ、毎日の通勤や週末のロングドライブで感じるストレスは早めに解消したいですよね。
この記事では、CX-60の足回りで一体何が起きているのかという構造的な原因から、ディーラーで対応できる無償の公式アップデート、手軽なタイヤ交換、本格的なアフターパーツの導入、そして明日からできる運転姿勢のコツに至るまで、ありとあらゆる情報を網羅してお届けします。
[参考] マツダ公式:CX-60 (外部ページ)
CX-60の乗り心地が気になったら?改善に向けた原因チェック

納車されたばかりの愛車でいつもの道を走ってみたとき、「あれ?試乗の時よりゴツゴツするかも」「なんだか落ち着かないな」と感じてしまうと、少し不安になってしまいますよね。
しかし、安心してください。足回りに違和感を覚える場合、それは決して「車自体の出来が悪い」というわけではありません。
CX-60は、欧州の高級スポーツセダンのような「カッチリとした走り」を目指して、非常に高い理想を掲げて設計されています。
ただ、その高度な設計思想と、ストップ&ゴーが多く路面が荒れがちな日本の道路事情との間に、少しだけ「すれ違い」が起きてしまっているのです。
まずは、車体の中でどのような現象が起きているのか、その根本的な原因を3つのポイントに分けて、専門用語をできるだけ使わずに分かりやすく整理してみましょう。
「乗り心地悪い」と感じやすいのはなぜ?ダンパーとバネのバランス
SNSやレビューサイトなどで「乗り心地悪い」と評価されてしまう最大の理由は、「小さな段差でのゴツゴツとした硬さ」と「大きな段差でのフワフワとした揺れ」という、相反する二つの動きが同時に起きてしまっていることにあります。
一般的に、車のサスペンション(足回り)は、以下の2つのパーツが協力し合って路面からの衝撃を吸収しています。
- スプリング(バネ):
路面からの衝撃を「グッ」と縮んで最初に受け止める役割 - ダンパー(ショックアブソーバー):
バネがいつまでもボヨンボヨンと揺れるのを「スッ」と抑え込む役割
本来であれば、この2つがバランス良く働くことでフラットな姿勢が保たれるのですが、CX-60(特にXDなどのFRモデル)では、この役割分担が少し偏ってしまっています。
分かりやすく表にまとめました。
【CX-60の足回りで起きている役割の偏り】
| パーツ | CX-60の現状 | 起きている問題と体感 |
| リア側のスプリング | 極めて柔らかい設定 | 柔らかすぎるため、衝撃に対してすぐに反発できず、力を逃してしまう。 |
| ダンパー | 常に余裕がなく大忙し | バネがサボってしまう分、初期の硬い力(減衰力)だけで無理やり衝撃を受け止めようとする。 |
| 結果(体感) | バランスの崩れ | マンホールの蓋などを踏んだ際、バネが動かずダンパーの硬さが直接「ゴツゴツ」と伝わる。 |
つまり、バネが柔らかすぎるせいで、逆にダンパーが突っ張ってしまい、結果的に「硬い」と感じてしまうという、ちょっと不思議な現象が起きているのです。
特に後席でフワフワとした揺れを感じてしまう理由
運転席に座っている自分はそこまで気にならなくても、同乗する家族や友人から「なんだか後ろの席、結構揺れるね」「ちょっと車酔いしそう」と言われてしまうケースも多いようです。
これにはマツダがCX-60に採用した、独自の「ピッチセンター(縦揺れの中心点)」という設計思想が関係しています。
【マツダ独自の設計:バウンス挙動とは?】
マツダは「人間が自分の足で歩いている時の自然な感覚」を車で再現するため、車が揺れる際の中心点を、車体のずっと後方(トランクルームのさらに後ろあたり)に設定しました。
- 一般的な車(ピッチ挙動):
前輪が段差を越えると、車全体がシーソーのように前後にガクンガクンと揺れる。 - CX-60(バウンス挙動):
シーソーのような動きを抑え、車体全体がエレベーターのように「平行に上下する」ように動く。
この設計自体は、乗っている人の頭が前後に揺さぶられるのを防ぎ、首の疲労を減らす素晴らしいアイデアです。
しかし、日本の道路環境と組み合わさった時に、少し厄介な問題を引き起こしてしまいました。
【後席で不快感が出やすいシチュエーション】
| 道路の状況 | 車体の動き | なぜ不快に感じるのか? |
| 高速道路の継ぎ目 | 一定の間隔でトントンと衝撃が来る | 平行に上下する動き(バウンス)が連続すると、揺れが共振してしまい、いつまでもユッサユッサと縦揺れが収まらなくなる。 |
| 市街地のうねり | 道路の波打ちを拾って上下する | 前席より後輪に近い後席の方が、直接的に上下の動きを感じやすく、フワフワと宙に浮くような感覚になりやすい。 |
このように、特定のスピードや段差の間隔が重なると、揺れが収まらない現象が起きてしまい、これが後席の乗員に不安感を与えてしまう大きな要因となっています。
初期型モデルにみられた構造的な課題とは?
発売直後に生産された初期型モデルにおいては、サスペンションの構造やパワートレイン(駆動系)の仕組みに、乗り味を少し粗く感じさせてしまう特有の課題がありました。
大きく分けて、以下の2つのポイントが挙げられます。
1. サスペンションの関節(ピロボール)の摩擦が強すぎる
CX-60のリアサスペンションの可動部には、一般的な「ゴムブッシュ」ではなく、「ピロボール(ボールジョイント)」という金属製の関節が奢られています。
- メリット:
ゴム特有の「グニャッ」としたたわみがないため、スポーツカーのようにハンドリングが非常にシャープになる。 - デメリット:
初期型では、この金属と樹脂が密着している部分の摩擦抵抗(フリクション)が異常に高く、サスペンションが細かく動こうとするのを邪魔してしまっていた。
新品の革靴が最初は硬くて歩きにくいのと同じで、走行距離が2000kmを超えたあたりから少しずつ部品が研磨されて滑らかにはなりますが、完全なゴツゴツ感の解消には至らないことが多いのが実情です。
2. トルクコンバーターレス8速ATによる変速ショック
足回りだけでなく、エンジンの力をタイヤに伝えるトランスミッション(変速機)の特性も、乗り心地に影響を与えています。
CX-60は、ダイレクトな加速感や燃費の向上を狙い、一般的なAT車についている「トルクコンバーター(液体で力を伝えるクッション)」を廃止しました。
これにより、アクセルを踏んだ際のダイレクト感は抜群に良くなったのですが、渋滞中などの極低速で1速・2速・3速と切り替わる際に、ギクシャクとしたショックが発生しやすくなっています。
この前後のギクシャク感が、足回りの硬さと合わさることで、体感的な「乗り心地の粗さ」を強調してしまっていたのです。
ディーラーで対応可能!CX-60の乗り心地を改善する公式サポート

マツダは「車を売って終わり」のメーカーではありません。市場に送り出した後も、実際に毎日運転しているオーナーからのリアルなフィードバックを真摯に受け止め、乗り味をより上質に洗練させるためのアップデートを順次展開しています。
通常、車の乗り心地に関する不満に対しては「そういう味付けの車です」と片付けられてしまうことも少なくありません。
しかしCX-60においては、制御用コンピュータのソフトウェア更新(リプログラミング)はもちろんのこと、異例とも言える「物理的なサスペンション部品の改修」を含む公式対策が実施されています。
自費で高額なパーツ交換などを検討する前に、まずはご自身の愛車がこれらの公式サポートの対象になっていないか、あるいは未対応のままになっていないかを確認することが改善への第一歩です。
フロント周りの動きを良くするサービスキャンペーン
2024年5月31日付で、CX-60の初期生産モデルを対象とした大規模な「サービスキャンペーン」がマツダ公式から発表されました。
これは、フロント(前輪)の足回りを支える「ロアアームブッシュ」というクッション部品の設計に対する無償の改善措置です。
[参考] マツダ公式:CX-60のフロントロアアームに関するサービスキャンペーン情報 (外部サイト)
【どのような症状が起きるのか?】
この部品に塗られている潤滑剤の保持性能が不十分であったため、時間が経つにつれて潤滑性が低下してしまうという問題がありました。
潤滑が不足すると、金属とゴムが擦れる際に「滑り」と「引っ掛かり」を繰り返す「スティックスリップ現象」という状態に陥ります。
- 具体的な体感:
低速でハンドルを切りながら段差を越えた際などに、足回りから不快な微振動が伝わってきたり、「ギュギュ」「コトコト」といった異音が生じます。
【ディーラーでの無償対応内容】
ディーラーに車を持ち込むことで、以下の作業が無償で行われます。
- 清掃とグリスアップ:
対象となる部品を綺麗に清掃し、専用の潤滑グリスをたっぷりと塗り直します。 - ダストカバーの追加:
グリスが流れ落ちたり、ゴミが噛み込んだりするのを防ぐため、新たにダストカバー(保護用のカバー)を追加装着します。 - 隙間の調整:
部品の隙間が規定値に満たない場合は、適切な状態に調整します。
この処置を受けたオーナーからは、「フロントサスペンションがよく動くようになり、低速域での突き上げ感が驚くほどマイルドになった!」という報告が相次いでいます。
対象となる車台番号の目安は以下の表の通りです。
(※中古車で購入された方なども含め、正確な対象確認や実施状況は、必ずマツダ公式サイトまたは販売店へお問い合わせください)
【サービスキャンペーン対象車の目安】
| 型式 | 対象車の車台番号の範囲 | 製作期間 |
| 3CA-KH3R3P | KH3R3P-100013 ~ 111382 | 令和4年7月5日~令和5年8月1日 |
| 3DA-KH3P | KH3P-100015 ~ 109507 | 令和4年11月18日~令和5年8月1日 |
| 5LA-KH5S3P | KH5S3P-100004 ~ 101031 | 令和4年10月19日~令和5年7月31日 |
| 5BA-KH5P | KH5P-100009 ~ 104410 | 令和4年12月14日~令和5年8月1日 |
突き上げをマイルドにするバンプストッパーの対策品
もう一つ、乗り心地に悩むオーナーの間で「隠れた劇的改善策」として情報交換されているのが、リアサスペンションの「バンプストッパー(ストッパーラバー)」の交換です。
バンプストッパーとは、サスペンションが深く沈み込んだ際、金属同士が激突しないように守ってくれる最終防衛ラインのクッション部品(スポンジのようなもの)です。
【なぜ交換が必要なのか?】
- 純正状態の問題点:
初期状態のバンプストッパーは、長くて硬い形状をしています。
CX-60のリアサスペンションはもともと動く量(ストローク量)が少ないため、ちょっとした段差でもすぐにこのストッパーにぶつかってしまい(バンプタッチ)、ドンッ!という強烈な突き上げを生んでいました。 - 対策品への交換効果:
これを「ショートタイプの対策品」に交換することで、ストッパーにぶつかるまでの距離(物理的なストローク量)が増加します。
これにより、サスペンションがしっかりとクッションの役割を果たせるようになり、突き上げが大きく緩和されます。
【ここがポイント!オーナー申告制の対応】
注意が必要なのは、この部品交換は「メーカーからのリコールやダイレクトメールによる一斉案内」ではないという点です。
オーナー自身が「後席の突き上げが酷い」「段差でのバウンドが収まらない」といった不満をディーラーのサービス担当者に明確に申告・相談した場合にのみ、個別に対応が検討される措置となっています。
また、ディーラーによってはこの部品交換と同時に、リアの「スタビライザー」というパーツを取り外す対応が行われるケースもあります。
スタビライザーを外す(後発のCX-80と同様の仕様に近づける)ことで、後輪の左右のタイヤがそれぞれ独立してスムーズに動くようになり、全体的な乗り味がよりマイルドで家族思いの方向へとシフトします。
参考:熟成が進んだ「2025年モデル」の抜本的進化
公式サポートの一環として、マツダがCX-60の乗り心地問題にどれほど本気で向き合っているかを示す証拠として、2022年9月の発売から約2年半を経て実施された大幅な商品改良(2025年モデル)の内容にも触れておきましょう。
このマイナーチェンジとも言える改良では、初期型で指摘された課題を徹底的に潰し込むべく、ハードウェア全体が大きく見直されました。
- バネとダンパーの最適化:
前後のスプリングを柔らかくしてしっかりとストロークさせつつ、フロントダンパーの「伸び側」の力を強くすることで、ソフトなのにフワつかない、絶妙な安定感を確保しました。 - ステアリング(ハンドル)の自然なフィーリング:
足回りの取り付け位置(ジオメトリ)を変更し、さらに電動パワーステアリングの制御を見直すことで、低速域で重すぎたハンドルの戻りを自然で滑らかな感触へと改善しました。 - ギクシャク感の解消:
8速ATの変速プログラミングを最適化し、低速域におけるトルクの抜け感や変速ショックを大幅に解消。車の動きがスムーズになり、前後の揺れ(ピッチング)が減りました。
これらの改良により、2025年モデルは「リアシートの乗り心地が劇的に改善した」「初期型とは別物レベルの洗練度」と非常に高い評価を獲得しています。
初期型オーナーであっても、先述のサービスキャンペーンや部品交換を実施し、適切にチューニングしていくことで、この「熟成された乗り味」にしっかりと近づけていくことが十分に可能です。
タイヤと空気圧の見直しでCX-60の乗り心地を手軽に改善

ディーラーでの対策を終えても、「もっと上質でマイルドな乗り味にしたい!」「家族がリラックスできる空間にしたい」という場合、一番リスクが少なく、かつ効果が絶大なのが「タイヤ周り」の見直しです。
車と路面が接しているのは、ハガキ数枚分の面積のタイヤだけです。
つまり、どれほど優れたサスペンションを持っていても、最初の衝撃を受け止めるタイヤのセッティングが合っていなければ、その性能を100%発揮することはできません。
ここでは、物理的なアプローチで足回りの環境を劇的に良くする方法を詳しく解説します。
18インチへのインチダウンで足回りの負担を軽くする
CX-60の上位グレードには「235/50R20」という20インチの大径タイヤが標準装備されています。
見た目の迫力やスポーティさは抜群にカッコいいのですが、乗り心地の観点から見ると、実は足回りにとってかなりハードな環境を強いています。
これを「235/60R18」の18インチタイヤへと「インチダウン(ホイールを小さくして、タイヤのゴム部分を厚くすること)」することで、驚くほどの恩恵が得られます。
【18インチ化がもたらす3つの劇的な変化】
- バネ下重量の圧倒的な軽量化(足元が約20kgも軽く!)
純正の20インチタイヤとホイールのセットは非常に重く、1本あたり約26kgにもなります。
これを18インチの軽量ホイールセットに変えることで、車全体で約20kgも足元が軽くなります。
車重が1.8トン〜1.9トンにもなるCX-60を支えるタイヤは、人間で例えるならスポーツ用のシューズのようなものです。
体重が90kg近くあるような大柄で筋肉質なスポーツ選手が、重くて底の薄いスニーカーで激しいジャンプやダッシュを繰り返せば、膝や腰(車でいうショックアブソーバーやボディ)にダイレクトに衝撃が伝わってしまいますよね。
足元を軽くすることで、路面のデコボコに対してサスペンションが素早く機敏に動けるようになり、不快なバタつきが見事に消え去ります。 - タイヤが「天然の分厚いクッション」になる
扁平率(タイヤの薄さ)が50から60へと上がることで、タイヤのサイドウォール(横のゴム部分)にたっぷりと厚みが生まれます。
CX-60はダンパーへの負担が大きい車ですが、分厚いタイヤが「縦方向のバネ」として最初のゴツゴツとした衝撃を優しく吸収してくれるため、ダンパーは本来の姿勢を保つ仕事に集中できるようになります。 - 不快なロードノイズを物理的にカット
20インチの薄く硬いスポーツタイヤは、荒れたアスファルトのザラザラとした振動(高周波)を直接車体に伝えてしまいます。
18インチにしてゴムの厚みを持たせることは、オーディオで例えるなら、外部の雑音を物理的にシャットアウトするイヤーパッドのような役割を果たします。
不快な高音のノイズが丸め込まれ、車内が驚くほど静かになります。
【CX-60の特性にピッタリ!おすすめ18インチタイヤ比較】
インチダウンをする際は、CX-60の重い車体をしっかりと支えられる剛性を持った「プレミアムコンフォートタイヤ」や「SUV専用タイヤ」を選ぶのがポイントです。
| メーカー | ブランド名 | 特徴・おすすめのオーナー像 |
| ヨコハマ | ADVAN V61 (公式製品ページ) | 【迷ったらコレ】 CX-60/80の18インチ純正指定銘柄。重いボディを支える強靭な構造と、EV並みの静粛性を両立。長距離ドライブでも疲れにくい王道タイヤ。 |
| ブリヂストン | ALENZA LX100 (公式製品ページ) | 【静かさ重視】 ロードノイズの抑制に全振りしたSUV専用コンフォートタイヤ。20インチの「ゴーゴー」という音に悩んでいるなら、ワンランク上の静かな車内空間が手に入ります。 |
| ダンロップ | GRANDTREK PT5 (公式製品ページ) | 【街乗りメイン】 ストップ&ゴーが多い市街地での快適性に特化。低速で段差を越える時のショックが非常にマイルドになるため、お買い物や送迎が多い方に最適。 |
| ミシュラン | PILOT SPORT 4 SUV (公式製品ページ) | 【走りの楽しさ重視】 乗り心地は良くしたいけれど、CX-60本来のスポーツカーのような鋭いハンドリングは絶対に犠牲にしたくない!という熱いドライバー向け。 |
| コンチネンタル | PremiumContact 7 (公式製品ページ) | 【安定感重視】 ヨーロッパの道路で鍛えられた抜群のグリップ力。ステアリングの反応の良さを保ちながら、フラットで落ち着いた乗り味にしてくれます。 |
| トーヨータイヤ | OPEN COUNTRY A/T (公式製品ページ) | 【アウトドア派】 雪道も走れるスノーフレークマーク付きのオールテレーンタイヤ。オフロードの見た目のカッコよさと、オンロードでの乗り心地を両立した万能選手。 |
| グッドイヤー | EfficientGrip 2 SUV (公式製品ページ) | 【バランス・低燃費】 雨の日の安心感(ウェット性能)が高く、タイヤも長持ち。路面からの突き上げをしなやかにいなしてくれる優しい乗り味が特徴です。 |
指定空気圧の微調整で得られるマイルドな変化
「インチダウンのメリットは分かったけれど、純正20インチのカッコいいホイールデザインが気に入っている」「今はまだ予算的にタイヤ交換は厳しい…」という方もいらっしゃるでしょう。
その場合の有効な手段として、「空気圧の微調整」というテクニックがあります。
マツダが指定している純正20インチ(235/50R20 100W)の適正空気圧は、前輪・後輪ともに「250kPa」です。
【なぜ空気圧を下げるのか?】
近年のエコカーやSUVは、燃費を少しでも良くする(タイヤの転がり抵抗を減らす)ために、指定空気圧がやや高め(パンパンで硬め)に設定されている傾向があります。
そこで、この指定の250kPaから、乗り心地の硬さや表面的な跳ね感を抑えるために、意図的に少しだけ空気を抜いてあげるのです。
- 調整の目安:
フロントを「230kPa」、リアを「220kPa」程度に調整してみる。 - 体感の変化:
タイヤの横側が適度にたわむようになり、ザラザラ・ゴツゴツしていた路面の感触が、角の取れた「コロコロ」とした優しい感触に変化します。
ピリッとしたスポーツSUVから、少しリラックスしたスポーティSUVへと性格が変わるイメージです。
⚠️ 空気圧調整における重要なお願い(注意点)
この方法は手軽で効果的ですが、極端に空気を抜きすぎると、以下のようなリスクが生じます。
- 操縦安定性の低下:
カーブを曲がる際や高速道路で、タイヤがグニャッとよじれて車体が不安定になる。 - 偏摩耗(片減り):
タイヤの両端ばかりが削れてしまい、寿命が極端に短くなる。 - 耐荷重不足:
タイヤが支えられる重さの限界(ロードインデックス)が下がる。
日常的な1〜2人乗車での街乗りであれば230kPa程度でも十分に対応できますが、「家族5人でフル乗車する時」や「トランクにキャンプ道具などの重い荷物を満載する時」「高速道路を使った長距離ドライブに出かける時」は、必ず速やかに指定の『250kPa』へ空気を補充して戻すようにしてください。
こまめなチェックと自己管理ができる方にとっては、全くお金をかけずに乗り心地を改善できる素晴らしいアプローチとなります。
ガソリンスタンド等で簡単に調整できるので、まずは一度、その変化を体感してみてはいかがでしょうか。
アフターパーツを活用してCX-60の乗り心地を根本から改善

ディーラーでの公式対策やタイヤのインチダウンは、あくまで「純正の設計の延長線上」にある改善策です。
それだけでも十分な効果は得られますが、「もっとCX-60のポテンシャルを引き出したい!」「プレミアムSUVにふさわしい、しなやかでフラットな走りを手に入れたい!」という熱い思いを持つオーナーには、サードパーティ製のアフターパーツの導入を強くおすすめします。
アフターパーツを活用することで、マツダの初期設計に縛られることなく、足回りの設計思想そのものを自分の理想の形へと上書きし、根本的な解決を図ることができます。
サスペンション交換(車高調)で理想のフラットな走りに
CX-60の乗り心地問題の根本には、「スプリング(バネ)が柔らかすぎて、その分ダンパー(ショックを抑える筒)が無理をして衝撃を受け止めている」という、役割分担のアンバランスさがありました。
このバランスを正常化し、足回りの主導権を取り戻すためには、スプリングとダンパーがセットになった「車高調(サスペンションキット)」へのサスペンション交換が最も確実で効果的です。
CX-60のオーナーから特に評価が高い、代表的な2つのブランドの製品を比較してみましょう。
【CX-60におすすめのサスペンションキット比較】
| ブランド名 | 製品名 | セッティングのアプローチ | 期待できる乗り心地の変化 |
| TEIN | FLEX Z | 【バネを主役にする】 純正よりスプリングを硬くし、ダンパーの初期の硬さを下げる。 | 段差での「ドンッ」という突き上げが消え、フワフワとした揺れが一発でピタッと収束する。 |
| AutoExe | ストリートスポーツ サス・キット | 【ロールスピードを操る】 微細な低速域からダンパーの力を素早く立ち上げ、車の傾きを緻密に制御。 | 乗り心地の角を取りつつ、コーナリングでの踏ん張りが効く。約25mmのローダウンで見た目もスタイリッシュに。 |
1. 姿勢変化を一発で収める「TEIN FLEX Z」
TEINのキットは、「スプリングの力を強くして、車体を支える主導権をバネに持たせる」というアプローチをとっています。
バネがしっかりと路面からの衝撃を受け止めてくれるため、ダンパーを無駄に硬く保つ必要がなくなります。
結果として、ダンパーは「バネの揺れをスッと収める」という本来の役割に専念できるようになり、段差を越えた時の不快な突き上げが消え去ります。
オーナーからも「ハンドルを切った瞬間にスッとノーズが入り、段差のフワフワ感も一発でしなやかに収まる!」と絶賛されています。
[参考] TEIN:FLEX Z製品ページ (外部サイト)
2. マツダ車を知り尽くした「AutoExe ストリートスポーツサス・キット」
マツダ車専用チューナーとして名高いAutoExe(オートエクゼ)は、純正の良さを活かしつつ、ツインチューブダンパーを用いて極低速域からの動きをコントロールする手法を採用しています。
基準車高を-25mm下げることで重心を安定させ、角の取れたしなやかな乗り心地と、スポーツSUVらしいリニアで俊敏なハンドリングを見事に両立させています。
[参考] AutoExe(オートエクゼ):ストリートスポーツサス・キット製品ページ (外部サイト)
【ワンポイントアドバイス:ローダウン時の必須パーツ】
車高を下げた際、足回りのアームの角度が「バンザイ状態(鋭角)」になってしまい、左右の揺れを抑えるスタビライザーがうまく働かなくなることがあります。
AutoExeから発売されている「アジャスタブルスタビライザーリンク」を使って長さを適切に補正し、「スポーツスタビライザー」で剛性を高めることで、直進時の乗り心地を悪化させることなく、カーブでの姿勢を強力に安定させることが可能です。
補強パーツでショックアブソーバーの働きを最適化
どれだけ素晴らしいサスペンションに交換しても、車重が2トン近くある巨大なSUVのボディは、走行中に路面から受けるストレスによって、目に見えないレベルで常に捻じれたり、ブルブルと微振動を起こしたりしています。
この微細な振動が、ザラツキ感やロードノイズとして車内に伝わってしまうのです。
ここで圧倒的な効果を発揮し、ショックアブソーバーの働きを100%引き出してくれる特効薬が、AutoExeの「モーションコントロールビーム(MCB)」です。
[参考] AutoExe(オートエクゼ):「モーションコントロールビーム(MCB)」製品ページ (外部サイト)
【モーションコントロールビーム(MCB)の仕組みと効果】
一般的なタワーバーのように、ただ鉄の棒でボディをガチガチに固めるのではありません。ボディの前後端に装着するこの補強ブレースの中央には、超高減衰の「摩擦式ダンパー」が組み込まれています。
- 仕組み:
ボディが捻じれたり変形しようとする嫌なエネルギーを、内蔵された摩擦ダンパーが吸収し、瞬時に「熱」に変換して空気中に逃がしてくれます。 - 効果:
ボディの余計なブルブル感が消え去るため、サスペンション(ショックアブソーバー)が縦方向の動きだけに集中できるようになります。
【MCBを装着したオーナーの感動の声】
- 「エンジンをかけて走り出した直後から、いつもの通勤路にあるわだちや、踏切の段差での突き上げが明らかに優しくなった!」
- 「中高速域での車線変更時に、ハンドルを切った際のボディがよじれる感覚がなくなり、まるでワンランク上の高級車のような落ち着きと直進安定性が出た」
MCBは、不快なロードノイズや微振動を物理的にシャットアウトしてくれるため、乗り心地と静粛性の両方を一気に引き上げてくれます。
予算に余裕があれば、サスペンション交換とセットで、あるいは第一段階のボディ補強として、ぜひ導入を検討していただきたい逸品です。
運転姿勢の工夫でCX-60の乗り心地を改善し、最高の愛車にしよう!

ここまで、ディーラーでの公式対応やタイヤ交換、そしてアフターパーツの導入など、様々な「車側(ハードウェア)」の改善策をご紹介してきました。
しかし、最後にもう一つ、決してお金をかけずとも明日からすぐ実践できる、極めて重要で効果的な対策があります。
それは「ドライバー自身の座り方(ドライビングポジション)」を見直すことです。
実は、マツダが目指す「人馬一体」の走りを引き出すためには、運転席に座る人間の姿勢が非常に大きな鍵を握っているのです。
骨盤を立てて車の揺れを自然に吸収するドライビングポジション
車の乗り心地の悪さは、最終的に「シートを通じて自分の頭(視線)が予期せず上下に揺さぶられること」で、不快感や疲労として脳に認識されます。
マツダはCX-60の独自のサスペンション設計(ピッチセンターを後方に置くジオメトリ)において、「人間が歩いている時と同じように、背骨のS字カーブを保って座った状態」を大前提としています。
つまり、車が受け止めた揺れを、最終的に人間の体幹のバランス機能を使って自然に吸収する設計になっているのです。
例えば、体重88kg前後のしっかりとした体格で、日頃からバスケットボールやウエイトトレーニングなどでハードに体幹を鍛え上げているような方であっても、背もたれを極端に倒して「ヤンキー座り」のように体重をすべてシートに預けきってしまうと、その鍛えられた筋肉やバランス感覚を活かすことができません。
サスペンションが処理しきれなかった縦揺れが背もたれを通じてダイレクトに頭部へ伝わり、激しい突き上げ感に襲われてしまいます。
また、メガネをかけて運転される方にとって、頭部が不意に揺さぶられることは死活問題です。
視点(レンズ)がブレることで脳が視界の揺れを過敏に感じ取り、「接地感が薄い」「ふらつく」と錯覚してしまい、目の奥の疲労や車酔いの原因に直結してしまいます。
これを防ぎ、車本来のしなやかさを引き出すための【正しいドライビングポジションの3ステップ】は以下の通りです。
| ステップ | 意識するポイント | 具体的なアクションと効果 |
| ①お尻を深く入れる | 「骨盤の直立」 | シートの座面の一番奥(背もたれとの境目)までしっかりとお尻を入れ、座骨の前方に体重を乗せます。 ランバーサポートを活用し、骨盤を垂直に立てることで、背骨が自然なS字を描き、スプリングのように振動を吸収できるようになります。 |
| ②背もたれに頼りすぎない | 「体幹の活用」 | シートバックはお腹が苦しくない程度に立てます。肩の力を抜いてステアリングに手を伸ばした際、背中の下半分がシートに軽く触れる程度にとどめます。 上半身を密着させないことで、人間が持つ本来のバランス機能が自然と働き出します。 |
| ③視線を遠くへ向ける | 「脱力と予測」 | SUV特有の高い視点により無意識に目の前の道路を見てしまいがちですが、視線をグッと遠くに置きます。 肩と腕の力を抜き、優しくステアリングを握ることで、車の挙動を正確に予測しやすくなり、結果的に揺れを不快に感じなくなります。 |
【DIYでのワンポイントアドバイス:シート締結部の制振チューニング】
さらに乗り心地を追求するオーナーの間で広く実践されているのが、シートの固定部分に物理的な緩衝材を割り込ませるDIYです。
- 方法:
フロアパネルとシートレールの間に、振動を吸収するゴムシート(前側に3mm厚、後側に5mm厚など)を挟み込む。 - 工夫:
シートを固定するボルトに「ボンデッドワッシャー(金属にゴムが焼き付けられた制振部品)」を噛ませて、ゴムが潰れるまでしっかりと締め込む。
この処置により、フロアからシートへ伝わってくる微振動がカットされ、通勤路のひび割れや段差で感じていた突き上げの「角」が丸まる効果が得られます。
(※ただし、シートの固定剛性を意図的に下げる行為であり、振動でボルトが緩むリスクがあるため、定期的な増し締めと安全確認が自己責任で必須となります)
まとめ:CX-60の乗り心地を改善して、ポジティブに味わう最高の愛車へ!
マツダCX-60の乗り心地に関する疑問や不満は、ダンパーへの依存、初期モデル特有の部品のフリクション、重量級の20インチタイヤ、そして独特のサスペンション構造など、複数の要因が複雑に絡み合って生じていたものです。
しかし、今回徹底的に解説してきたように、それらは決して「直らない欠陥」や「我慢するしかない不具合」ではありません。
- ディーラーでの公式アップデート(サービスキャンペーンや対策品交換)を完遂する
- バネ下重量を軽くするため、18インチタイヤへのインチダウンを実施する
- より高みを目指すなら、車高調やボディ補強(MCB)などのアフターパーツを導入する
- 人間のバランス機能を活かす、正しいドライビングポジションを習慣化する
これらのアプローチを組み合わせることで、CX-60の乗り心地を改善することは十分に可能です。
不快な突き上げや揺り戻しから解放され、プレミアムFR-SUVにふさわしい、上質でしなやかなフラットライドへと昇華させることができます。
強靭な縦置きプラットフォーム、直列6気筒エンジンの滑らかな吹け上がり、そして街中で誰もが振り返るような美しいプロポーション。
CX-60は、少しだけオーナーの手を加えて自分好みに育て上げることで、他のSUVでは決して味わうことのできない「至高のドライブフィール」を提供してくれる、類稀なる名車です。
ぜひ今回のロードマップを参考に、あなたのCX-60が持つ本当のポテンシャルを解放し、いつまでも運転していたくなるような「最高の相棒」とのカーライフを存分に楽しんでください!

