「マツダのCX-60を検討しているけれど、ネットで『燃費が悪い』という口コミを見て購入を迷っていませんか?」
全長4,740mm × 全幅1,890mmという堂々たる車格に、新開発の3.3L直列6気筒エンジン。
この圧倒的なスペックを見れば、「維持費が高くつくのではないか」「実燃費はカタログ値からガタ落ちするのではないか」と身構えてしまうのは至極当然のことです。
しかし、検索画面の向こう側にある心理を紐解くと、単なるネガティブな不満ではなく、「失敗したくないというリスク回避の心理」や「自分のライフスタイルに合うか確かめたい」という切実な本音が隠されています。
ユーザーが本当に知りたがっている懸念は、主に以下のシチュエーションに集中しています。
- 2.5Lガソリン(25S):ストップ&ゴーの多い「街乗り」での実燃費の限界値
- 3.3Lディーゼル(XD):短距離走行(チョイ乗り)で発生するDPF再生と燃費急落の有無
- PHEV:夏・冬の過酷なエアコン使用時における電費・燃費の悪化度合い
- トルコンレス8速AT:マツダ新技術が内包する極低速域でのエネルギーロス
さらに、「トヨタ・ハリアー」や「日産・エクストレイル」といった強力なライバル車と実質的な維持費を比較し、最終的な選択の妥当性を測りたいという意図も顕著です。
そこで本記事では、これらすべての疑問に対して、客観的な実データと自動車工学的な視点から徹底検証!
「なぜ悪いと言われるのか」の構造的な真実と、後悔しないパワートレインの選び方を分かりやすく解説します。
[参考] マツダ公式:CX-60 (外部サイト)
CX-60のパワートレイン別データを検証!本当に燃費が悪いモデルはどれか?

CX-60の燃費評価を著しく複雑にしている最大の要因は、同一車種の中に「ガソリン」「ディーゼル」「マイルドハイブリッド」「プラグインハイブリッド(PHEV)」という、キャラクターの全く異なる4つのパワートレインが混在している点にあります。
これらは駆動方式(FRまたは4WD)によってもカタログ値が大きく変動し、さらにユーザーから報告される実燃費(「e燃費」や「みんカラ」等の集計データ)にも極端な差が生まれています。
まずは、それぞれのパワートレインにおけるカタログ燃費(WLTCモード)と、膨大なユーザーサンプルから得られたリアルな実燃費の相関関係を、体系的に整理したデータ表で確認してみましょう。
[参考] e燃費:CX-60の燃費報告 (外部サイト)
【一覧表】パワートレイン別 燃費データ包括的比較
| パワートレイン | 駆動方式 | 代表グレード | カタログ平均 (WLTC) | 市街地モード | 郊外モード | 高速道路モード | 実燃費平均 |
| 25S (ガソリン) | 2WD (FR) | 25S S / L Package | 14.1 〜 14.2 km/L | 10.8 km/L | 14.2 km/L | 16.1 km/L | データ不足 |
| 4WD | 25S S / L Package | 13.0 〜 13.1 km/L | 10.2 〜 10.4 km/L | 13.1 km/L | 14.7 〜 14.8 km/L | 8.64 km/L | |
| XD (ディーゼル) | 2WD (FR) | XD / S / L Package | 19.6 〜 19.8 km/L | 16.1 〜 16.3 km/L | 19.3 km/L | 21.8 〜 22.0 km/L | 16.14 km/L |
| 4WD | XD / S / L Package | 18.3 〜 18.5 km/L | 15.3 〜 15.5 km/L | 18.3 km/L | 20.2 km/L | 16.93 km/L | |
| XD-HYBRID (MHEV) | 4WD | Exclusive / Premium | 20.9 〜 21.1 km/L | 17.7 〜 18.1 km/L | 21.4 〜 21.6 km/L | 22.3 〜 22.5 km/L | 17.1 〜 17.2 km/L |
| PHEV (プラグイン) | 4WD | Premium / Modern | 14.3 km/L | 10.7 km/L | 14.5 km/L | 16.5 km/L | 18.14 km/L ※ |
| 4WD | S / Exclusive | 14.6 km/L | 11.1 km/L | 15.7 km/L | 16.0 km/L | 18.14 km/L ※ |
(※PHEVの実燃費平均は、外部充電によるEV走行を適度におこなった場合の、電気消費量とガソリン消費量を総合したハイブリッド換算値の代表例です)
この網羅的なデータマトリクスを詳細に分析すると、ネット上で「燃費が悪い」と騒がれている噂の「真犯人」と、逆に「驚異的な低燃費」を達成しているモデルの存在が浮き彫りになります。
2.5Lガソリンモデル(25S)の実燃費とカタログ値の乖離
2.5L直列4気筒自然吸気ガソリンエンジン(SKYACTIV-G 2.5)を搭載する「25S」の4WDモデルに注目すると、カタログ上のWLTCモード平均値は13.0~13.1 km/Lであるのに対し、ユーザーから報告されている市場の実燃費平均は 8.64 km/L という極めて厳しい数字を記録しています。
ガソリン4WDモデルの燃費達成率
- カタログ燃費(WLTC):13.1 km/L
- 市場実燃費平均:8.64 km/L
- カタログ値に対する達成率:約65.9%
実質約66%というこの著しく低調な達成率こそが、SNSやオーナーレビューにおいて「CX60の燃費は期待外れで悪い」というネガティブな評価が拡散される直接の引き金となっています。
特にストップ&ゴーが連続する環境では、この大きな車体に対して排気量2.5Lの自然吸気ガソリンエンジンでは荷が重く、ドライバーが想像する以上に燃料を消費してしまう傾向が顕著です。
3.3Lディーゼル(XD)およびマイルドハイブリッド(XD-HYBRID)の圧倒的な燃費性能
ガソリンモデルが苦戦を強いられている一方で、新開発の3.3L直列6気筒ディーゼルターボエンジン(SKYACTIV-D 3.3)を搭載する「XD」および、48Vマイルドハイブリッド「M Hybrid Boost」を組み合わせた「XD-HYBRID」は、全く異なる驚異的なリザルトを叩き出しています。
ディーゼル系モデルの優秀な実燃費実績
- 純粋ディーゼル(XD 4WD):カタログ値 18.3 〜 18.5 km/L > 実燃費平均 16.93 km/L
- マイルドハイブリッド(XD-HYBRID 4WD):カタログ値 20.9 〜 21.1 km/L > 実燃費平均 17.1 〜 17.2 km/L
特筆すべきは長距離ドライブにおける高速道路巡航時のポテンシャルであり、WLTC高速道路モードに対する実測値の達成率は98%前後に達し、環境によっては 23.0 km/L 以上の低燃費を容易に記録します。
大排気量マルチシリンダー特有の余裕あるトルクにより、エンジン回転数を極限まで低く抑えられることが、この卓越した経済性を支えています。
PHEVモデルの重量負荷と過酷な気候下における電費・燃費
2.5Lガソリンエンジンに大型駆動モーターと大容量リチウムイオンバッテリー(17.8kWh)を組み合わせたPHEVモデルは、日常の移動を電気(EV走行)だけでカバーできる先進性を持つ反面、バッテリーを使い切ったあとの挙動や、外気温による影響を極めて強く受ける特徴があります。
PHEVモデルのシチュエーション別・燃費評価
- 【良好】日常の短距離移動(外部充電を併用)
片道20km〜30km圏内の移動をEVモードで完結させている環境であれば、ガソリンをほとんど消費しないため、データ上は 18.14 km/L を超える非常に優れた実質燃費(換算値)を達成可能です。 - 【不調】バッテリー残量枯渇後の長距離移動
一度バッテリー残量が底を突き、純粋なハイブリッド(HV)モードでの走行へと移行すると、システムを構成する重いコンポーネントが車両全体の「重鎖」へと変化し、一転して燃費効率の低下を招くというジレンマを抱えています。
このように、CX-60という一台のクルマの中には、パワートレインの選択によって「燃費が極めて悪いモデル」と「クラス最高峰の低燃費を誇るモデル」という、工学的な二面性が極端な形で同居しているのです。
工学的なアプローチで解き明かす!CX-60の燃費が一時的に悪い状態になる構造的要因

CX-60の実燃費がなぜこれほどまでにバラつき、特定の条件下で「悪い」とされる状態に陥るのか。
その理由は、マツダがこのクルマに盛り込んだ先進的なパッケージングと、新規開発されたメカニズムの過渡的な特性にあります。
単なる噂話ではなく、自動車工学的な視点からその根本原因を詳細に解剖します。
ガソリン4WDモデルのパワーウェイトレシオと街乗りでの負荷
2.5Lガソリン4WDモデル(25S)が日本の市街地走行において燃費を著しく悪化させる最大の要因は、車両の重量に対してエンジンの絶対的なトルクが不足しているという「パワーウェイトレシオの負荷」にあります。
25S(ガソリン4WD)のスペックバランス
- 車両重量:1,720 〜 1,790 kg(ずっしりとした重量級)
- 搭載エンジン:SKYACTIV-G 2.5(2.5L 自然吸気)
- 最高出力:138 kW (188 PS) / 6,000 rpm
- 最大トルク:250 N·m (25.5 kgf·m) / 3,000 rpm
このエンジンは過給機(ターボ)を持たない自然吸気(NA)であるため、最大トルクの発生回転数が3,000 rpmと比較的高く、発進直後の極低回転域では十分な駆動力を生み出すことができません。
街乗りで燃費が落ち込むメカニズム
- 日本の都市部に多い「信号待ちからのゼロ発進」や「頻繁な再加速」が発生する。
- 車体を前に進めるために、トランスミッションを低いギヤに保ち、エンジンを意図的に高回転域まで回さざるを得ない。
- スロットルバルブを大きく開くため、エンジンの燃料消費効率(熱効率)が最も良い領域を大きく逸脱する。
- 結果として、燃料を濃く噴射せざるを得ない領域での運転が続き、街乗り実燃費が 8 km/L台 にまで落ち込む。
トルコンレス8速ATの採用目的と低速域における摩擦損失
マツダがCX-60のために完全新規開発した「トルコンレス8速AT」も、低速域における燃費効率と運転フィーリングに大きな影響を与えています。
一般的なオートマチックトランスミッション(AT)は、エンジンと変速機の間に「トルクコンバーター(流体継手)」を配置し、オイルを介して動力を滑らかに伝達します。
しかし、マツダはあえてこのトルコンを排除し、代わりに「湿式多板クラッチ」を採用しました。
トルコンレス(湿式多板クラッチ)を採用した2つの目的
- 目的1:徹底した省スペース化
フロントミッドシップ(縦置き)レイアウトにおいて、運転席・助手席の足元スペースを圧迫しないよう、トランスミッションの外径を極限までコンパクトに抑えるため。 - 目的2:ダイレクトな伝達効率の追求
流体を介さない確実な締結により、巡航時のスリップロスや油圧ロスを完全に排除し、ダイレクトな加速感と高速域での優れた燃費性能を獲得するため。
低速域・渋滞路で発生するトレードオフ
しかし、この構造はストップ&ゴーの多い日本の渋滞路において、諸刃の剣となります。
流体による衝撃吸収作用(スリップ効果)がないため、時速数キロメートル以下の極低速域や、発進・停止が連続する環境では、湿式多板クラッチを緻密に「半クラッチ」状態にするスリップ制御に頼らざるを得ません。
この半クラッチ制御をスムーズかつ緻密に行うためには、トランスミッション内部で常に高い油圧を正確にコントロールする必要があり、この制御油圧を発生・維持させるためのエネルギー(オイルポンプの駆動負荷)がエンジンに対して一定のロスとして跳ね返ります。
結果として、極低速域での走行効率を押し下げる要因となり、ユーザーから不満として挙がる「低速域でのギクシャク感や微小な異音」も、このクラッチ制御の過渡特性が原因で発生しています。
短距離走行(チョイ乗り)がもたらすDPF再生と燃費急落のメカニズム
3.3L直列6気筒ディーゼルエンジン(SKYACTIV-D 3.3)は、中長距離の巡航時には無類の強さを誇りますが、日常の使い方が「片道数キロメートルの買い物」や「近所の送迎」といった「短距離走行(チョイ乗り)」ばかりになると、ディーゼル特有の排気ガス浄化システムが燃費に対して牙をむくことになります。
現代のクリーンディーゼル車には、排気ガス中に含まれる微粒子物質(煤:PM)を大気中に放出させないために、マフラーの途中に「DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)」という構成部品が必ず装着されています。
通常、走行中の排気ガスは高温であるため、捕集された煤は走りながら自然と燃焼処理されますが、短距離走行(チョイ乗り)環境下では、このサイクルが以下のように崩れてしまいます。
DPF強制再生による燃費急落のステップ
- 不完全燃焼の発生
エンジンが完全に暖機(適正温度に上昇)する前に目的地に到着し、走行を終了してしまうため、エンジン内で燃料が不完全燃焼を起こしやすくなる。 - 煤(PM)の急速な堆積
低回転・低負荷のノロノロ運転ばかりが続くことで、DPFへの煤の堆積速度が通常よりも著しく加速する。 - 「DPF強制再生モード」の自動起動
煤の堆積量がセンサーの許容値を超えると、システムがフィルター内に溜まった煤を意図的に焼き払う制御を自動的に起動する。 - アイドリングストップの強制キャンセル
安全・制御上の理由からマツダ自慢の「i-stop」が作動しなくなる。 - ポスト噴射(追加の燃料供給)による燃費急落
フィルター内部を約600°C以上の高温にするため、排気行程において追加の燃料を噴射する「ポスト噴射」が行われる。
この燃料は純粋に排気温度を上げるためだけに消費されるため、作動中の瞬間燃費は10 km/Lを大きく割り込むレベルまで一時的に急落する。
通常、中長距離のドライブを適切に行っていれば、DPFの再生間隔は概ね 1,500 km以上 という長いサイクルに保たれるよう設計されていますが、短距離走行ばかりを繰り返すユーザーの環境下では、この再生サイクルが極端に短頻度(例:100km〜200km毎)で介入するようになります。
これが、ディーゼルでありながら「街乗りでの平均実燃費が著しく悪化する」という隠された構造的要因です。
PHEVにおける重量負荷と過酷な気候下での熱源管理
PHEVモデル(プラグインハイブリッド)は、大容量のリチウムイオンバッテリー(17.8kWh)と、最高出力129kWを発揮する強力な駆動モーターを搭載しているため、車両重量が 2,040 〜 2,100 kg と、ガソリンモデルに対して約300kg以上も重く作られています。
バッテリー枯渇時のHV走行効率
駆動用バッテリーの残量が底を突き、電気のみでの走行が維持できなくなると、車両は純粋なハイブリッド(HV)モードへと移行します。
この状態になると、最高出力138kWの2.5L自然吸気ガソリンエンジンが、2トンを超える巨体と駆動システム全体のフリクションを引き受けて走行することになります。
そのため、純粋なHVモード時における実質的な燃費は 13 km/L程度 まで低下し、さらに走行しながらエンジンを効率の悪い領域で回してバッテリーを強制的に充電する「チャージモード」を作動させた場合には、実燃費が 10 km/L程度 にまで悪化するという重量ゆえの負荷が発生します。
冷暖房使用時における熱源管理のジレンマ
PHEVのシステム効率は、日本の四季における外気温の変動(炎天下や氷点下)によって劇的な影響を受けます。
夏期の冷房使用時
真夏の炎天下でエアコン(冷房)をオンにして激しい渋滞に巻き込まれると、高電圧バッテリーから電動コンプレッサーへと大量の電力が直接供給され続けます。
これにより、駆動へ回せるエネルギーが大幅に削られるため、HV走行時の燃費が通常時と比較して30〜40%悪化(実測で8 km/L未満に低下)することが工学的に確認されています。
冬期の暖房使用時
冬期の車内暖房は、一般的なガソリン車であればエンジンの排熱(冷却水の余熱)を無償の熱源として利用できます。
しかし、PHEVが「EV走行(電気だけでの走行)」を維持しようとする場合、エンジンが回っていないため自ら熱を作り出す必要があります。
CX-60のPHEVには車内を素早く暖めるために高消費電力の「PTCヒーター」が稼働しますが、これがバッテリーの電力を激しく消費します。
さらに、外気温が著しく低い環境では、システム全体を保護し、かつ必要最低限の暖房熱源を確保(冷却水を昇温)するために、ドライバーの意図に反してガソリンエンジンが自動的に強制始動される機会が激増します。
これにより、カタログ上で 71 〜 74 km と謳われている等価EVレンジ(EV走行換算距離)は、実質的に大幅に短縮されることになります。
コースティング時の空調制御と曇り問題
燃費・電費を少しでも稼ぐための制御として、巡航中や長い下り坂などでドライバーがアクセルペダルを完全にオフにした際、エンジンやモーターの引きずり抵抗を排除するためにクラッチを切り離し、慣性だけで滑るように走る「コースティング(慣性走行)」という制御が介入します。
しかし、このコースティング作動時にエネルギー管理を最優先させる結果、エアコンディショナーのコンプレッサーの稼働が一時的に送風状態へと切り替わることがあります。
この時、車内の乗員の呼気や外気温との温度・湿度差により、フロントウィンドウが走行中に徐々に曇り始めるという、安全性能および快適性のトレードオフにおける課題が初期モデルを中心にユーザーから指摘されています。
「Trekker」グレードにみるエンジン始動制御の工夫
なお、CX-60の特別仕様車として展開されている「Trekker」などの一部の改良グレードでは、これらPHEV特有の弱点を克服するための緻密なエンジン始動制御のアップデートが施されています。
通常のPHEVモデルでは、EV走行からHV走行へ移行する際、スムーズでショックのないエンジン始動を行うために、トランスミッションとエンジンの間に配置された「P2モーター(駆動用モーター)」を用いてクランキング(始動)を行います。
しかし、この方式では、モーター側に常に「エンジンをいつでもかけられるためのクランキング用のトルク余力」をマージンとして残しておく必要があり、これが結果として純粋な電動(EV)走行における最大駆動力を制限し、EV走行領域を狭める原因になっていました。
これに対し「Trekker」等の最新の制御ロジックでは、エンジン始動時に従来の12V系スターターモーター(セルモーター)を優先的に組み合わせる協調制御を導入しています。
これにより、駆動用モーターの持つトルクを走行用エネルギーとして100%解放することが可能となり、寒冷時や高負荷時でもEV走行を粘り強く維持させ、実質的な総合燃費を大幅に向上させることに成功しています。
ライバル車と徹底比較!CX-60の燃費や維持費は競合ミドルサイズSUVより悪いのか?

CX-60の購入を検討しているユーザーが、選択の最終段階で必ず比較対象として挙げるのが、同一価格帯(400万円〜600万円台)に位置する国産の都市型ミドルサイズプレミアムSUVです。
その双璧をなすのが、ハイブリッドの絶対王者である「トヨタ・ハリアー(80系ハイブリッド)」と、独自の100%モーター駆動を売りにする「日産・エクストレイル(T33型 e-POWER)」です。
まずは、CX-60の主力である「3.3Lディーゼル(XD)」と、これら競合2車種のカタログ燃費スペック(WLTC各モード)を横並びで比較してみましょう。
【比較表】競合3車種 燃費スペック・燃料種別
| 車種名・パワートレイン | 駆動方式 | カタログWLTC平均 | 市街地モード | 郊外モード | 高速道路モード | 使用燃料 |
| CX-60 XD (3.3Lディーゼル) | 2WD (FR) | 19.6 〜 19.8 km/L | 16.1 〜 16.3 km/L | 19.3 km/L | 21.8 〜 22.0 km/L | 軽油 |
| 4WD | 18.3 〜 18.5 km/L | 15.3 〜 15.5 km/L | 18.3 km/L | 20.2 km/L | 軽油 | |
| ハリアー ハイブリッド | 2WD (FF) | 22.3 km/L | 19.5 km/L | 25.1 km/L | 22.1 km/L | レギュラー |
| 4WD (E-Four) | 21.6 km/L | 18.8 km/L ※ | 24.2 km/L ※ | 21.4 km/L ※ | レギュラー | |
| エクストレイル (e-POWER) | 2WD (FF) | 19.7 km/L | 16.4 km/L ※ | —— | —— | レギュラー |
| 4WD (e-4ORCE) | 18.3 〜 18.4 km/L | 15.4 km/L ※ | —— | —— | レギュラー |
(※ハリアー4WDの各モード値およびエクストレイルの市街地モードは、JC08換算やメーカー公表値ベースの推定・参考値を含みます)
[参考] トヨタ公式:ハリアー (外部サイト)
[参考] 日産公式:エクストレイル (外部サイト)
ハリアー・エクストレイルとCX60の経済性はどっちが上?
単純な「数値上のカタログ燃費」のみを比較した場合、トヨタの誇るハイブリッドシステムを搭載したハリアー(2WD:22.3 km/L)が、CX-60 XDに対して明確なアドバンテージを築いているように見えます。
特にストップ&ゴーが日常茶飯事である日本の都市部(市街地モード)においては、ハリアーの 19.5 km/L という圧倒的な数値は、CX-60の 16.1 〜 16.3 km/L を大きく引き離しており、これが「CX-60はライバルに比べて燃費が悪い」という印象を与える最大の要因になっています。
しかし、ここで自動車の維持費における最大のパラダイムシフトである「使用燃料の価格差(エネルギー単価)」を計算に導入すると、実質的なランニングコストの逆転構造が鮮やかに浮かび上がります。
【シミュレーション】1,000km走行時の実質燃料費用
日本の燃料価格体系において、CX-60が使用する「軽油」は、ハリアーやエクストレイルが使用する「レギュラーガソリン」に対して、1リットルあたり約20円〜30円安価に設定されています。
以下の現実的な条件ベースで、1,000km走行するために必要な実質的なお財布からの支出(燃料代)を試算・比較してみましょう。
【試算の前提条件】
- レギュラーガソリン単価:165円/L
- 軽油単価:138円/L
- ハリアーの実燃費(平均値):18.5 km/L
- CX-60 XDの実燃費(平均値):16.5 km/L
【試算結果(燃料代の総額)】
- ハリアー ハイブリッド:約 8,918 円
- CX-60 XD(ディーゼル):約 8,363 円
- 結果:CX-60の方が、1,000kmあたり約555円安価!
このように、燃費の「数値」そのものはハリアーが優れていても、燃料の「単価」という経済的要因が加わることで、走行コストはCX-60 XDの方が安くなり、実質的な維持費の逆転が発生するのです。
[参考] 経済産業省 資源エネルギー庁:石油製品価格調査 (外部サイト)
高速巡航におけるCX-60の圧倒的優位性
さらに、走行ステージが「時速 100 〜 120 km/hでの高速道路などを利用した長距離巡航」へとシフトした場合、CX-60 XD(直列6気筒ディーゼル)の優位性は完全に圧倒的なものとなります。
高速道路における両者の挙動ギャップ
- CX-60 XD(ディーゼル)
大トルク(550 N·m)を誇る3.3Lエンジンにより、時速100km巡航時のエンジン回転数をわずか 1,500 rpm という超低回転域に抑え込める。
この領域でのディーゼルの熱効率は極めて高く、高速道路を淡々と走るシチュエーションでは、実燃費で容易に 20 〜 22 km/L を超える数値をマーク。 - ハリアー / エクストレイル(ハイブリッド・e-POWER)
電気駆動を主体とするハイブリッド車は、高速巡航状態に入るとモーターの効率が良い領域から外れてしまう。
そのため、駆動バッテリーの電圧を維持するためにガソリンエンジンが絶え間なく高回転で回り続ける必要が生じ、高速道路では実燃費が 16 〜 18 km/L 程度に伸び悩む傾向がある。
つまり、「日常の移動において高速道路やバイパスを使った中長距離のドライブが全体の半分以上を占めるユーザー」にとっては、CX-60 XDの実質的な経済性は、ハイブリッドのライバルたちを完全に凌駕する水準に達しているのです。
燃費以外にも気になるポイント!CX-60は足回りや乗り心地も悪いという噂の真実

インターネット上で「CX60 燃費 悪い」というキーワードを調べているユーザーの行動履歴を分析すると、燃費性能への疑念と完全に連鎖する形で、シャシー性能(足回り)に対する強い不満や、「乗り心地が硬すぎる」「不快な突き上げがある」といったネガティブな噂に突き当たることが非常に多いことが分かります。
マツダがこだわり抜いたFRベースの「ラージ商品群プラットフォーム」の初期セッティングには、工学的にどのような課題があったのか。
そしてなぜ不評を買うことになってしまったのか、その真実を客観的に検証します。
サスペンション内部のフリクションと初期減衰力の過多
CX-60(特に2022年の発売当初から2023年頃までの初期生産モデル)の乗り心地が、市街地の低速域において「ゴツゴツと硬く、路面の情報を拾いすぎてキャビンが揺さぶられる」と厳しく評価された原因は、サスペンション設計における「内部摩擦(フリクション)」と「ダンパーの減衰力特性」のバランスにありました。
フロントに高級車に用いられるダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクサスペンションを採用したCX-60は、欧州の超高速域(アウトバーンなど)での卓越した走行安定性をターゲットに開発されました。
初期型で乗り心地の硬さが目立った理由
- ボールジョイントの多用:
車体のねじれやアームの無駄な動きを極限まで排除すべく、サスペンションの各結合部(ブッシュ類)に非常に剛性の高いパーツやピロボールを多用。
これが裏目に出て、結合部全体のフリクション(突っかかり抵抗)を増大させ、日本の荒れたアスファルトなどの微小な入力に対して、サスペンションが初期段階で滑らかにストロークしない原因に。 - 高すぎるダンパー減衰力:
組み合わせられるダンパー(ショックアブソーバー)自体も、低速域・小入力時の減衰力が非常に高く設定されていたため、市街地を時速30km〜50km程度で巡航している際の「路面の舗装のツギハギ」や「マンホールの段差」といった日常的なショックをいなすことができず、フロアやシートを通じて乗員の身体へとダイレクトに振動を伝える結果に。
20インチ大型タイヤによるバネ下重量の増加とリアサスペンションの収束性
CX-60の上位グレード(Premium Sports、Premium Modern、Exclusive Modeなど)には、プレミアムな外観を演出するために 235/50R20 という、極めて大径かつ偏平率の低い20インチアルミホイール&タイヤセットが標準で装着されています。
自動車工学において、サスペンションよりも下にあるコンポーネントの重量(バネ下重量)の増加は、乗り心地に対して以下のようなダイレクトな悪影響を及ぼします。
大径20インチタイヤが招くデメリット
- タイヤの跳ねの増幅:
重い大径ホイールが一度段差で跳ね上がると、その慣性エネルギーが大きいため、サスペンションのバネやダンパーだけで一発で動きを抑え込むことが難しくなる。 - 「お釣りの揺れ」の発生:
特にFR(後輪駆動)特性を強調したリアのマルチリンクサスペンションは、スタビライザー(横揺れ防止機構)の設定が非常に突っ張る構造になっており、かつアーム類のブッシュが硬すぎるため、段差を通過したあとに車体が左右、あるいは上下に「ユサユサ」と揺れ残り続ける「収束性の悪さ」を引き起こした。
このバネ下重量の重さとリアの硬さが相乗効果を起こし、後席に乗車したファミリーから「クルマ酔いしそうになる」といった致命的な不評を買う要因となってしまいました。
足回りの硬さや回生ブレーキのフィーリングに対するユーザーの不評
走行性能において、燃費を稼ぐための重要技術である「回生協調ブレーキ」のセッティングに対しても、多くのユーザーから使いにくさに対する不評が集中しました。
回生協調ブレーキとは、ブレーキペダルを踏んだ際に、まずは駆動モーターを抵抗として回して電気を回収(回生制動)し、さらに強い制動力が求められる場合に初めて、従来のブレーキパッドでローターを挟む「物理ブレーキ(油圧制動)」を介入させるシステムです。
CX-60はこの2つの制動力の統合制御において、開発初期の熟成不足を露呈してしまいました。
回生ブレーキ不評のメカニズム(カックンブレーキの原因)
- 初期ストローク(ペダルを踏み始めた瞬間)
回生制動領域の制御が過渡期にあり、ペダルを踏み始めた瞬間はスカスカと効きが弱く感じられる。 - 中間ストローク(不安による踏み増し)
効きが弱いため、ドライバーが不安になってペダルをさらに少し奥まで踏み増す。 - 物理ブレーキの唐突な介入
一定のラインを超えた瞬間、物理ブレーキ(油圧制動)が唐突に強く立ち上がり、ガツンと突っ張るような減速になる(「カックンブレーキ」現象)。
このコントロール性は、信号の手前で滑らかに、同乗者に不快なG(加速度変化)を与えずに停止したい都市部の穏やかな減速シーンにおいて、運転者の右足に不必要な神経と疲労を強いることになります。
トヨタが数十年にわたるハイブリッド開発で培ってきた、油圧と回生のつなぎ目を全く感じさせない滑らかなブレーキフィーリングと比較すると、CX-60の初期の制御ロジックは市場から「完成度が低い」と評されても仕方のない状態であったと言えます。
【まとめ】CX-60は「燃費が悪い」を覆す魅力に溢れた一台!後悔しない選び方

マツダCX-60の燃費性能をめぐる噂の真実と、ライバル車との実質コスト比較を検証してきました。
結論として、CX-60は一律に燃費が悪い車ではありません。
走行ステージに合わせた最適なパワートレインを選ぶことで、クラス最高峰の経済性と走る歓びを両立できます。
購入後に後悔しないための「ライフスタイル別・最適解」は以下の通りです。
【ナビゲーション】ライフスタイルに合わせた最適なパワートレイン
- 都市部の近距離走行(チョイ乗り)が9割のユーザー
- 推奨: PHEVモデル
- 理由: 自宅充電を前提とすれば、日常の買い物をガソリン消費ゼロの「EV走行」でカバーできるため、環境依存のネガを最小限に抑え込めます。
- 週末のロングドライブや高速道路を多用するユーザー
- 推奨: 3.3Lディーゼル(XD / XD-HYBRID)
- 理由: 高速巡航では実燃費 20 km/Lオーバー を容易にマークし、燃料単価の安い「軽油の恩恵」でハリアーすら圧倒する維持費の安さを実現できるため。
オーナーのリアルな評価から見えてくるCX60の本質
ネットの局所的な声に惑わされず、実際のオーナーの声に耳を傾けると、車両に対する満足度は非常に高いことが分かります。
- 圧倒的な美しさ:FRベースが生み出すロングノーズの美しいプロポーション
- シルキーな直6エンジン:マルチシリンダー特有の滑らかで官能的な回り心地
- 強烈な加速:アクセルを踏み込んだ瞬間に背中を押し出す550 N·mの大トルク
欧州のプレミアムSUVであれば700万〜1000万円超を要求されるパッケージングを、400万〜500万円台というバーゲンプライスで提供している点に、CX-60の揺るぎない本質があります。
年次改良と中古車市場の動向から紐解く「CX60の燃費は本当に悪いのか」という疑問の最終結論
マツダは販売年次に応じて世界トップクラスのスピードで「熟成と改善」を実行するメーカーです。
市場から指摘された初期のネガ(足回りの硬さ、ATのギクシャク感)に対しても、制御ソフトのアップデート(リプログラミング)や足回りの部品変更などの対策を矢継ぎ早に投入しています。
これらを踏まえた、現在の自動車市場における賢い選択肢は以下の2点に集約されます。
- 新車で検討する場合:
すべてのネガ要素が工学的に熟成された「最新改良モデル」を手にできるため、洗練された乗り味と本来の低燃費を最初から安心して享受できます。 - 中古車市場で検討する場合:
初期型はネットの噂による逆風で、驚くほど割安な「バーゲン価格」で流通しています。
しかしディーラーで最新ソフトに書き換えることでギクシャク感は大幅に緩和され、コストパフォーマンスは抜群になります。
乗り手のライフスタイルとパワートレインの特性を正しく合致させれば、これほど所有欲を満たし、長距離を最高の経済性で駆け抜けてくれる相棒は他に存在しません。
構造的な真実を理解した今こそ、あなたにとって最高の一台を選び出してください。

